【公務員試験】専門科目ってなに?
公務員を目指そうと思うけど、勉強法も分からないし、
科目もたくさんあってどれを選べばいいか分からないよ。
科目選択は難しいですよね。今回は前編・後編に分けて私の経験を基に科目の特徴や勉強法等をご紹介するよ!
目次
この記事の対象者
- 専門科目どれを選択すればいいの?と思う方
- 科目は決まっているけど、先人の人たちはどうやって勉強してたのか気になる人
- 行政職種を目指している方
専門科目について
そもそも専門科目って何?
公務員の筆記試験には、高校までで学んできたことがメインの教養試験と大学で学ぶ学問である専門科目の2種類があります。
この専門科目は、国家公務員や都道府県庁・政令市の大部分の試験で必須であり、避けては通れない科目になります。また、市役所レベルの試験でも課される所もあります。
専門科目は、主に3つの系統にわかれております。
・学系科目(政治学、行政学、社会学、国際関係論など)
・法律系科目(憲法、民法、行政法、労働法、刑法、商法など)
・経済系科目(ミクロ経済学、マクロ経済学、財政学、経営学、会計学、統計学など)
また、受験する自治体によっては、専門科目の傾斜配点が大きかったりするので、非常に重要になってきます。
各試験ごとの専門科目について
専門試験(多岐選択) | 専門試験(記述) | |
国家一般職 | 80題出題 のうち40題解答 次の16科目(各5題)から8科目を選択し、計40題解答 政治学、行政学、憲法、行政法、民法(総則及び物権)、民法(債権、親族及び相続)、ミクロ経済学、マクロ経済学、財政学・経済事情、経営学、国際関係、社会学、心理学、教育学、英語(基礎)、英語(一般) | - |
国税専門官 | 出題数は70題 ■必須 2科目16題(民法・商法、会計学(簿記含む)) ■選択 次の9科目54題(各6題)から4科目24題選択 (憲法・行政法、経済学、財政学、経営学、政治学・社会学・社会事情、英語、商業英語、情報数学、情報工学) | 5科目(各1題)のうち1科目選択 「憲法」「民法」「経済学」「会計学」「社会学」 |
東京都 | ー | 10題中3題 選択解答 |
地方上級 | 50題のうち40題選択 出題範囲:憲法、行政法、民法①[総則・物権]、民法②[債権・親族・相続]、マクロ経済学、ミクロ経済学、財政学、経営学、政治学、行政学、社会学 | - |
特別区 | 55題中40題選択解答 出題範囲:憲法、行政法、民法①[総則・物権]、民法②[債権・親族・相続]、マクロ経済学、ミクロ経済学、財政学、経営学、政治学、行政学、社会学 | - |
上図を見て分かる通り、専門科目を全て勉強する必要ありません。
受験する自治体の試験に合わせて必要な科目数を勉強すればいいのです。
例えば、国家一般職を受験する場合、8科目は選択必須ですので、8科目プラス予備で2科目の10科目といった具合になります。
※上記の例で、8科目だけしか勉強しないというのはとても危険です。
なぜなら、中には年によって地雷だらけの問題しか出題されないといった科目があったりします。
ですので、その場合に備えて1~2科目は予備で勉強しておく必要があります。
各専門科目の概要とおすすめ
次からは、ほとんど自治体で出題のある、それぞれの科目の概要と私的おすすめ度をご紹介します。
それぞれの科目の勉強法とおすすめの参考書については、下のブログでご紹介しています。
学系科目
出題範囲は広いですが、暗記科目が多く、覚えれば得点源になることが多いです。
ただ、地雷科目になりやすい点とおぼるべき範囲に対して出題数が少ないというデメリットがあります。
政治学~おすすめ度4~
各国の政治制度・政治思想・選挙・政党・利益団体等の分野が主です。
範囲が広く覚えるべきことが多いですがひたすら暗記をすれば得点源になります。
行政学~おすすめ度3~
主に、官僚、世界の公務員制度、行政組織の管理や政策過程など行政組織全般についての科目になります。
政治学とかぶる部分もあるので勉強しやすいかと思います。
社会学~おすすめ度4~
簡単に言うと、学者名と学説の内容の暗記が中心です。
こちらは覚えてしまえば勝ちです。
ただ、地方上級だとほとんど出題がないため、ご自身の受験する自治体を決めてから勉強を始めるほうがいいです。
法律系科目
法律系科目は、判例と条文を覚えるのが主になってきます。
比較的勉強しやすい科目だと私自身は思っていますが、公務員になった後も必要な知識となってくるため、
勉強することをお勧めします。
憲法~おすすめ度5~
おすすめというより、勉強必須科目です。
皆さん、憲法はさすがにご存知ですよね?
憲法とは、国家と国民との間を規律する法です。
「国民の人権に関する分野」と「国家の統治体制に関する分野」に分かれています。
前者については判例、後者については条文知識の学習が特に重要です。
学説の解釈が対立している論点もありますが、まずは通説を押さえておけば十分です。
得点源にもなりやすく、また公務員になった後も必要な知識になりますので、勉強しましょう。
行政法~おすすめ度5~
こちらも勉強必須科目です。
行政法とは、行政不服審査法、行政事件訴訟法、行政手続法、国家賠償法、情報公開法などの国家と国民との間を規律する様々な法律の総称のことです。
こちらは判例の学習が重要になり、重要判例や基本的条文知識を押さえることが試験突破のポイントになります。
民法~おすすめ度5~
こちらも重要な科目のうちの1つです。
私人間の財産関係や家族関係について規律する法律です。
暗記量は多い科目ですが、条文知識や判例を問う問題が中心ですのでちゃちゃっと覚えちゃいましょう。
経済系科目
ミクロ経済学とマクロ経済学は、勉強する範囲が広いですが、出題数も多く、非常に重要な科目になってくるかと思います。
苦手分野をなくすことが大切です。
経済学~おすすめ度5~
経済学は、ミクロ経済学とマクロ経済学に分かれています。
簡単に説明すると、ミクロ経済学は家庭や企業の視点で経済活動を分析する学問で、マクロ経済学は国のレベルでの経済活動を分析する学問になります。
他の科目ですと、判例を覚えるといった作業になるかと思いますが、経済学では、計算問題であったり、グラフの問題なんかも出題されます。
覚えることは多いですが、出題数が多くどの自治体でも出題されますので、勉強すべき科目となります。
財政学~おすすめ度4~
財政学とは、予算や公債等の「財政制度」、各国の財政の「財政事情」、財政の機能、租税などの「財政理論」に分かれています。
財政学も、ほとんどの自治体で出題があり、出題数もそれなりにありますので勉強すべき科目の1つといえます。
こちらも、計算問題やグラフ問題が出題されます。
科目ごとおすすめ度まとめ
以上をまとめると(ご紹介していない科目含めて)以下のようになります。
科目 | おすすめ度 | |
学系科目 | 政治学 | 4 |
学系科目 | 行政学 | 3 |
学系科目 | 社会学 | 4 |
学系科目 | 社会政策 | 2 |
学系科目 | 国際関係 | 1 |
学系科目 | 社会事情 | 2 |
法律系科目 | 憲法 | 5 |
法律系科目 | 民法 | 5 |
法律系科目 | 行政法 | 5 |
法律系科目 | 刑法 | 1 |
法律系科目 | 労働法 | 1 |
法律系科目 | 商法 | 1 |
経済系科目 | 経済学 | 5 |
経済系科目 | 財政学 | 5 |
経済系科目 | 経済事情 | 3 |
経済系科目 | 経済史 | 1 |
私が国家一般職を受験するとして、この中で10科目勉強するとしたら、憲法・民法(2種)・行政法・経済学(2種)・財政学・政治学・行政学・社会学を選択すると思います。
迷った時の優先度
あくまでも、私個人の主観ですので参考程度でおねがいします。
行政系科目
行政系科目は、政治学→行政学→社会学と始め、余裕があれば社会政策・国際関係などを勉強するようにしましょう。
政治学は、勉強しておくことで教養科目の社会科学や時事も理解しやすくなり、相乗効果が期待できるためです。
次に行政学をおすすめするのは、政治学とも関係が深い科目だからです。
社会政策と国際関係については、出題数が少ないため、余力があれば勉強するようにしましょう。
法律系科目
法律系科目は、憲法→民法・行政法と勉強するのがいいかと思います。
憲法は、判例問題が多く、具体例とセットで覚えやすく一番とっつきやすい科目です。
また、行政法や、行政学などの分野は、憲法の基本的な知識がないと理解しにくい部分がありますので憲法から勉強することをお勧めします。
また、民法についても、事例問題も多く勉強しやすい反面、範囲がとても幅広いため、十分な理解が必要な科目になります。
ですので、憲法をある程度理解出来たら、早い段階でとりかかることをお勧めします。
経済系科目
ミクロ経済学→マクロ経済学→財政学の順に勉強するのがおすすめです。
マクロ経済学は抽象度が高いため、経済学の基礎的な考え方が備わっていない段階では理解するのが難しいかと思います。
ミクロ経済学のほうが理解しやすく経済学の基礎的な考え方を理解できるため、先にミクロ経済学を勉強することをお勧めします。
財政学については、ミクロ・マクロの基礎が出来ていたほうが勉強がスムーズに進みます。
各系統の優先順位について
(法律系・経済系)→行政系の順で勉強するのがいいかと思います。
前者はどの試験でも出題されやすく、非常に重要な科目であるためです。
まとめ
- 専門科目とは、大学で学ぶ範囲の学問の事です。
- 学系科目(政治学、行政学、社会学、国際関係論など)
- 法律系科目(憲法、民法、行政法、労働法、刑法、商法など)
- 経済系科目(ミクロ経済学、マクロ経済学、財政学、経営学、会計学、統計学など)
- 国家公務員や都道府県庁・政令市の大部分の試験で必須であり、避けては通れない科目